4つの心

4つの心で食を意識する

私たちは、「知識や情報を提供する食教育」から「食そのものを意識する食教育」へ転換する必要があると、考えています。

平成17年に食育基本法が発令されて以来、食生活の改善および生活習慣病の早期予防の観点から、栄養学、衛生学、脳科学などに由来する食の知識・情報は、教育現場においても家庭においても、豊富に手に入るようになりました。しかし、次代を担う子どもたちに継承するに値するものが、その中にどれほどあるでしょうか。

今、自分が口にしている食物が、「どこで生まれ育ち」「どのようなつながりから給食や食卓に上ってきたのか」。また、「なぜそのような色や形状、においをしているのか」。さらには、見て触って嗅いで食べた時に「体が何を感じたか」など、食に対するあらゆる意識を目覚めさせる機会の提供にこそ、これからの食教育の本質があると思うのです。

そのためにはまず、「食を感じる教育」が不可欠です。五感を呼び起こし、感性を研ぎ澄まし、湧き起る想いを確かめることが大切です。スーパーに並ぶ野菜ひとつをとっても、私たちが意識するのは表層に見えるわずかな部分でしょう。その野菜が生まれ育った背景には里山や里海(里湖)、自然があり、大地や水や空気があります。丹精こめて育てた人々、私たちに提供するために奔走した人々がいます。給食や食卓に上るまでには、手間をかけて味わいを加えた人々もいます。

そもそも食は、三食あって当たり前なものではなく、歴史的にも世界的に見ても、今日の一食を獲得することすら稀なもの。食は稀であり、命であり、繋がりであり、恵みです。食が生まれた瞬間、育まれた大地や海、口にするまでの過程に、想いをめぐらす機会を提供したい。家族や社会、生物、自然を介して食卓に運ばれてきていることを伝えたい。「味わう」とは五感や心で感じることであり、地球上の多くのつながりがあってこそと意識してほしい。

私たちが提唱する「フードコンシャスネス(きちんと食を意識する)」の基軸はそこにあり、さらに「4つの心」で食を意識することにより、「意識する食教育」の啓蒙・実践・浸透を進めてまいります。