イタリア味覚教育事情視察

地方自治体・生産者・学校給食委託事業者を巻き込んだ
0歳児からの味覚教育

イタリア味覚教育センターは、味覚教育教師の養成機関であると同時に、地方自治体・地元生産者・学校給食委託事業者を巻き込んだ形で展開する、味覚教育プロジェクトのプロジェクトリーダーでもあります。プロジェクト推進の際は、「味覚授業の導入」「学校菜園の設置・運営」「学校給食への地域食材活用」といったプログラムを重視しますが、これらプログラムが教育現場にどのように導入されているか、2011年10月17日~20日に視察したトスカーナ州における事例の一部をご紹介します。

保育園での味覚教育

園庭を利用した菜園と郷土食給食(プラート市保育園)

味覚教育の中でも重要な位置を占める「学校菜園の設置・運営」プログラムの導入は、保育園においても同じです。0~3歳児を預かるプラート市の公立保育園では、園庭の一画に「オオカミの庭」と名づけた菜園を作り、園児がキュウリやレタスを栽培・収穫、サラダなどで味わっています。

  • 収穫後は土を休ませ、交代で野菜を植えている

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1歳6カ月児からの菜園活動(マッサローザ町保育園)

3カ月児~3歳児を預かるデル・マグロ保育園では、1歳6カ月になると菜園活動に参加します。本格的な農具を使い、土を耕し、種をまく。トスカーナ地方の伝統産業である農業に従事していた地域のお年寄りが、作物にまつわる言い伝えを園児に教えるなど、菜園活動に協力しています。

  • 給食:トスカーナ産の豆を煮込んだスープ。伝統的な郷土食でもある

  • 給食:トマトソースのショートパスタ。パスタは園児が食べやすいサイズに加工したものを市が直接購入している

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地産地消給食(テッラヌオーヴァ・ブラッチョリーニ市保育園)

市の調査では、「保育園に通っていた子どもは自主性が高く、両親に敬意を抱く傾向がある」。この結果を受け、1日のうち2食をまかなう保育園給食の重要性を認識した市は、食材を地元生産者から直接購入することに。品質の確保とコスト削減、地域経済への還元を図っています。

小学校での味覚授業

  • 市街地の学校は敷地が狭く、校庭は樹脂で覆われている。土が残るわずかな土地を学校菜園に活用、果樹や野菜を育てている

  • 秋の収穫期でもあり、授業ではカリン・アーモンド・トマト・オリーブ・ブドウなど地域食材をディスプレイ

  • 子どもたちが頬張っているブドウのケーキは保護者の手作り。ワインを作るブドウを使った郷土食でもある

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郷土の生産物を味わう(プラート市小学校)

プラート市が公立の小学校に導入している味覚教育プロジェクトのうち、中心となっているプログラムが、「学校菜園」と「味覚授業の導入」です。チェーザレ・グァステイ小学校の5年生は、この1年間、「午前中にフルーツを食べよう」というテーマで授業を行っていました。

行政の取り組み

  • 園児向けプログラムのひとつ「おさかな教室」。船着き場で漁師さんが、獲ってきた魚介類を手に解説

  • 調理したスズキを漁船で試食。魚嫌いの解消と地域食材への理解を図っている

  • 「おいしい学校プロジェクト」の一環で、学校給食委託業者も郷土食や地域食材を給食に導入

  • 学校給食に出される豆のスープやオリーブオイルから、児童は地域食材や郷土食を意識する

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おいしい学校プロジェクト(ヴィアレッジョ市)

トスカーナ州ルッカ県ヴィアレッジョ市は、地中海に面した海辺のリゾート地。同市が取り組んでいる味覚教育は「おいしい学校プロジェクト」と名づけられ、地元生産者・学校給食サービス会社を巻き込み、様々なプログラムを展開しています。